新NISAとは?2つの投資枠・非課税制度・始め方を初心者向けに解説
新NISAとはどのような制度か、つみたて投資枠と成長投資枠の違い、年間投資枠・非課税保有限度額、売却後の枠の再利用から解説。口座開設の流れと始める前の注意点を初心者向けに整理します。
目次8項目
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新NISAは、投資による売却益や配当・分配金を非課税にできる制度です。2026年6月時点では、年間投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円、非課税保有限度額は合計1,800万円です。ただし、NISA自体が利益や元本を保証するわけではありません。
この記事では、2つの投資枠、売却後の枠の再利用、口座開設の流れ、損益通算ができない点まで整理します。商品選びの前に、株式投資の始め方やオルカンの仕組みも確認すると、制度と投資対象を分けて理解しやすくなります。
【初級編】そもそも「NISA」とは何か
まずは大前提として、「NISAとは何のための制度なのか」をやさしく押さえておきます。ここが腑に落ちると、この先の細かいルールもぐっと理解しやすくなります。
① NISAは運用益を非課税にする制度
NISA(ニーサ)は、ひとことで言えば「投資で得た利益に、税金がかからなくなる制度」です。国が「少額からの投資による資産形成を応援します」という趣旨で用意した、いわば”非課税のお財布”のようなものだと考えるとイメージしやすいと思います。
投資信託や株式を、このNISAという専用の口座の中で買って、値上がりしたり配当を受け取ったりしても、そのもうけに税金がかからない——これがNISAの最大の魅力です。
② 通常は約20%の税金がかかる、という前提
なぜ「非課税」がそんなにありがたいのか。それは、通常の投資には税金がかかるからです。
ふつうの課税口座(特定口座など)で投資をすると、値上がり益や配当には約20%(正確には20.315%)の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出ても、約2万円は税金として引かれ、手元に残るのは約8万円。これがNISA口座なら、10万円がまるまる手元に残る計算になります。
長く投資を続けて利益が大きくなるほど、この「約20%の差」は効いてきます。NISAが「使わないともったいない」と言われるのは、このためです。
③ 2024年に「新NISA」へ大きく進化した
NISA自体は以前からありましたが、2024年(令和6年)から制度が大きく生まれ変わりました。これがいわゆる「新NISA」です。
以前の制度(旧NISA)と比べて、「非課税で投資できる金額が大きくなった」「非課税で持ち続けられる期間が無期限になった」「制度そのものが恒久化された(いつでも使える)」など、使い勝手が大幅に良くなりました。細かい違いは後ほど触れますが、まずは「2024年から、より長く・より大きく使える制度になった」とだけ覚えておけば十分です。
【中級編①】新NISAの全体像 — 2つの投資枠
新NISAを理解するうえで最初の山場が、「2つの投資枠」です。新NISAには性格の異なる枠が2種類あり、ここを押さえると全体像が見えてきます。
① つみたて投資枠(年間120万円まで)
ひとつめが「つみたて投資枠」です。年間で投資できる金額の上限は120万円とされています。
この枠で買えるのは、長期の積立・分散投資に向くと国が認めた投資信託に限られます。具体的には、手数料が低く、長期保有に適した一定の基準を満たすファンドが対象です。毎月コツコツ積み立てて、世界や国全体の成長にゆっくり乗っていく——そんな初心者向けの王道スタイルにぴったりの枠だと考えるとわかりやすいと思います。
② 成長投資枠(年間240万円まで)
ふたつめが「成長投資枠」で、年間の上限は240万円とされています。
こちらは対象の幅が広く、つみたて投資枠の対象商品に加えて、個別の株式やより幅広い投資信託・ETFなどにも投資できます(一部、対象外となる商品もあります)。「インデックスの積立だけでなく、応援したい個別企業の株も買いたい」といった、もう一歩進んだ使い方に対応した枠、というイメージです。
③ 2つは併用できる(合計で年間360万円)
つみたて投資枠と成長投資枠は、同時に使えます(併用可能)。
両方をフルに使うと、年間の投資額は最大で360万円(120万円+240万円)になります。もちろん、無理にこの満額を使う必要はまったくありません。「つみたて投資枠だけを毎月コツコツ」という使い方でも、まったく問題なくNISAのメリットを受けられます。
| 比較項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 主な対象 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など(除外商品あり) |
| 併用 | 可能 | 可能 |
| 非課税保有限度額 | 2枠合計1,800万円 | そのうち最大1,200万円 |
【中級編②】生涯の非課税枠と「無期限化」
年間の枠の次は、「一生でいくらまで非課税にできるのか」という、生涯の枠の話です。ここも新NISAの大きな魅力が詰まっています。
① 生涯1800万円という上限
新NISAでは、一生のうちに非課税で保有できる金額の上限が1800万円と定められています(この上限は買ったときの値段=簿価で計算されます)。
ただし、ひとつ条件があります。この1800万円のうち、成長投資枠で使えるのは最大1200万円まで。一方で、つみたて投資枠には個別の上限がないため、1800万円すべてをつみたて投資枠で埋めることも可能です。「インデックスの積立を中心にしたい人」にとっては、とても柔軟な設計になっています。
② 非課税で持ち続けられる期間が”無期限”に
旧NISAでは「非課税で持てるのは◯年まで」という期限がありましたが、新NISAではこの非課税保有期間が無期限になりました。
これは地味ですが、とても大きな変更です。期限を気にして売り急ぐ必要がなく、自分のペースで、何十年でもじっくり保有し続けられる。長期でコツコツ育てる投資と、非常に相性の良い仕組みになったわけです。
③ 売却すると、枠が”復活”する
もうひとつ、旧制度になかった大きな特徴が「枠の再利用」です。
新NISAでは、保有している商品を売却すると、その商品を買ったときの金額(簿価)の分だけ、翌年に非課税枠が復活し、また使えるようになります。たとえば、ライフイベントで一度資産を取り崩しても、空いた枠を後からまた使い直せる、ということです。「一度使ったら終わり」ではないため、人生の状況に合わせて柔軟に付き合える制度になりました(ただし、復活した枠を使えるのは翌年以降で、その年の年間投資枠の範囲内、という点には注意が必要です)。
※2024年開始の新NISAの制度上の上限(金額は簿価ベース)。出典:金融庁「NISAを知る」。
【上級編①】旧NISAとの違い・口座のルール
ここからは、もう少し細かいけれど知っておくと安心な、制度まわりのルールを整理します。
① 旧NISA(一般・つみたて)との関係
2023年までの旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で投資していた分は、どうなるのでしょうか。
結論から言うと、旧NISAで保有している分は、新NISAとは別枠で、そのまま非課税で保有し続けられます(旧制度のルールに沿った非課税期間まで)。ただし、旧NISAでの新規の買い付けはできません。これから新たに投資する分は、すべて新NISAの枠を使う形になります。なお、未成年向けの「ジュニアNISA」は2023年で終了しており、新規の利用はできません。
② 1人1口座、金融機関は年単位で変更できる
NISA口座は、1人につき1口座しか持てません。複数の証券会社で同時にNISA口座を開く、ということはできない仕組みです。
ただし、金融機関(証券会社など)は年単位で変更が可能です。「最初に選んだ会社が合わなかった」という場合でも、所定の手続きをすれば翌年から別の会社に移せます。とはいえ手続きには手間がかかるので、最初の口座選びはある程度じっくり考えておくのがおすすめです。
③ 対象は18歳以上
2026年6月時点で新NISAを利用できるのは、その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者です。制度改正が行われる可能性もあるため、実際に開設する時点の年齢要件は金融庁の案内で確認してください。
【上級編②】新NISAの始め方(4ステップ)
仕組みがわかったところで、実際に始めるときの流れを4つのステップで整理します。「気になってはいるけれど、まだ口座を持っていない」という方は、ここを参考にしてみてください。
① 金融機関(証券会社)を選ぶ
まずはNISA口座を開く場所を選びます。銀行でも開けますが、取り扱う商品の幅広さや手数料の面から、ネット証券を選ぶ人が多いようです。「取扱商品の数」「積立のしやすさ」「手数料」などを比べて選ぶとよいでしょう。
② 口座を開設する
会社を決めたら、口座開設の手続きをします。多くのネット証券では、スマホで本人確認書類(マイナンバーカードなど)を提出すれば、オンラインで完結します。NISA口座は税務署の確認を挟むため、開設まで数日〜数週間ほどかかることもあります。
③ 投資する商品を選ぶ(考え方)
口座ができたら、何に投資するかを考えます。ここで大切なのは、「みんなが買っているから」ではなく、仕組みを理解して選ぶことです。
選択肢の一つが、つみたて投資枠で買える全世界株式や米国株式などに連動するインデックス投資信託です。当ブログでも、全世界株式(オルカン)やS&P500について別記事で詳しく解説していますので、商品の中身、コスト、地域の偏りを確認する手がかりにしてください。なお、本記事は特定の商品をすすめるものではありません。
④ 積立の設定をする
商品が決まったら、「毎月いくら積み立てるか」を設定します。多くの証券会社では、一度設定すればあとは自動で買い付けてくれるので、手間がかかりません。金額は、無理のない範囲で始めるのが鉄則です。少額からでも、まず始めて続けることのほうが、ずっと大切です。
【番外編】新NISAで気をつけたい3つの注意点
メリットの大きい新NISAですが、万能ではありません。最後に、知らずに始めると「こんなはずでは」となりがちな注意点を3つにまとめます。
① 損益通算・繰越控除ができない
NISAの数少ない弱点が、「損が出たときに、税制上の救済を受けられない」点です。
通常の課税口座であれば、ある投資で出た損失を、別の投資の利益と相殺(損益通算)したり、損失を翌年以降に繰り越したり(繰越控除)できます。ところがNISA口座の損失は、これらの対象になりません。「非課税」というメリットの裏返しとして、こうした仕組みは使えない、と覚えておきましょう。
② 「枠を埋めること」が目的ではない
新NISAは枠が大きくなったぶん、「早く1800万円を埋めなきゃ」と焦ってしまう人もいます。けれど、枠を埋めること自体は目的ではありません。
投資の原資は、あくまで生活に無理のない範囲のお金であるべきです。生活費や、いざというときの資金(生活防衛資金)まで投資に回してしまうのは本末転倒。「枠が空いているのはもったいない」という気持ちより、「続けられるペースかどうか」を優先してください。
③ 元本保証ではない・短期売買には向かない
最後に、もっとも大事な点です。NISAは「非課税の制度」であって、「儲かることが保証された制度」ではありません。中身はあくまで株式や投資信託といった投資商品なので、価格は上下し、買ったときより値下がりすることも当然あります。
また、非課税のメリットや無期限化の恩恵を最大限に活かせるのは、長期でじっくり保有するスタイルです。短期で売買を繰り返すような使い方には、あまり向いていません。「長く・コツコツ・無理なく」——この基本姿勢こそが、新NISAと上手に付き合うコツだと私は考えています。
まとめ
今回の要点は次のとおりです。
- NISAは投資の売却益や配当・分配金を非課税にする制度
- つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円で、併用すると年360万円
- 非課税保有限度額は合計1,800万円で、成長投資枠はそのうち最大1,200万円
- 非課税保有期間は無期限で、売却した商品の簿価分は翌年以降に再利用できる
- 損益通算・繰越控除はできず、元本保証もない
新NISAは、長くコツコツ資産形成をしていきたい人にとって、とても心強い味方になりうる制度です。一方で、仕組みを知らないまま雰囲気で始めると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。今回の内容が、その第一歩を落ち着いて踏み出すための地図になれば嬉しいです。
また、投資に唯一の正解はなく、いろいろな見方があると思います。私自身もまだ学びの途中ですが、この記事がご自身の考えを深める一助になれば幸いです。
参考リンク(出典)
本記事の作成にあたっては、以下の公式情報を参考にしました。NISAの制度内容や金額・ルールは改正されることがありますので、実際に始める際は必ず各サイトの最新の一次情報をご確認ください。
- 金融庁「NISAを知る」(年間投資枠・非課税保有限度額・制度概要)
- 金融庁「NISAのよくある質問」(売却後の枠の再利用・金融機関変更・旧NISA)
- 金融庁「つみたて投資枠対象商品」(対象商品の最新一覧)
- 金融庁「資産形成の基本」(元本割れ、長期・積立・分散の考え方)
- 日本証券業協会「知っておきたいNISAのポイント」(2枠の併用・年間投資枠)
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