ROE・EPS・PER・PBRとは?株式指標の見方を初心者向けに解説
ROE・EPS・PER・PBRの意味と計算式を初心者向けに整理。収益性・1株利益・株価評価の違い、4指標を組み合わせる順番、低PERや低PBRだけで割安と判断できない理由を解説します。
目次16項目
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ROE・EPS・PER・PBRは、それぞれ別の質問に答える株式指標です。ROEは資本を使う効率、EPSは1株当たり利益、PERは利益に対する株価、PBRは純資産に対する株価を表します。
4つを一度に覚えるコツは、「会社が稼ぐ力を見るROE・EPS」と「その会社が株式市場でいくらに評価されているかを見るPER・PBR」に分けることです。単独の数値で割安・優良と決めず、推移、同業他社、利益の中身を組み合わせて確認します。
| 指標 | 答える質問 | 基本式 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| ROE | 株主の資本を効率よく使ったか | 当期純利益÷平均自己資本 | 借入や自社株買いでも上がる |
| EPS | 1株がいくら利益を生んだか | 当期純利益÷期中平均株式数 | 一時利益や株式数の変化を含む |
| PER | 利益の何倍まで買われているか | 株価÷EPS | 赤字では原則計算できない |
| PBR | 純資産の何倍まで買われているか | 株価÷BPS | 資産の質や収益力を示し切れない |
【初級編】まず4指標を二つのグループに分ける
① ROEとEPSは会社側の数字
ROEとEPSは、決算で示される利益や自己資本、株式数から計算します。会社がどれだけ利益を上げたか、1株の持ち分がどれだけ利益を生んだかを見る指標です。
株価が1日で大きく動いても、その日のROEや実績EPSが同じだけ変化するわけではありません。決算発表や業績修正、自社株買い、増資などによって更新されます。
② PERとPBRは株価を含む数字
PERとPBRは計算式に株価を使うため、日々変化します。同じ会社でも株価が上がれば倍率は高くなり、株価が下がれば低くなります。
したがって「PER10倍の会社」と固定的に覚えるのではなく、どの時点の株価と、実績・予想のどちらの利益を使った数値かを確認する必要があります。
③ 実績と予想を混ぜない
PERには実績EPSを使う実績PERと、会社予想や市場予想を使う予想PERがあります。利益が大きく伸びる予想なら、実績PERは高くても予想PERが低くなることがあります。
比較するときは、実績同士または予想同士にそろえます。予想は変わるため、前提となる売上や利益の確度も確認します。
【初級編】EPSとは何か
① 1株当たりの利益
EPSはEarnings Per Shareの略で、1株当たり当期純利益と呼ばれます。JPXは「当期純利益を期中平均発行済株式数で除した数値」と説明しています。
会社全体の利益が同じでも、発行済株式数が違えば1株の持ち分は変わります。そのため、株主の立場では利益総額だけでなくEPSを見ることが重要です。
② EPSの計算例
当期純利益が100億円、期中平均株式数が1億株なら、単純化したEPSは100円です。
100億円÷1億株=100円
利益が120億円へ増えて株式数が同じならEPSは120円です。一方、利益が100億円のまま自社株買いで期中平均株式数が減れば、EPSが上がる場合があります。
③ EPS成長を見る理由
株主が持つ1株当たりの利益が長期的に増えれば、配当や企業価値を支える土台になり得ます。ただし、一時的な資産売却益や税負担の減少でEPSが増えることもあります。
売上高、営業利益、営業キャッシュフローも一緒に伸びているかを見ると、本業によるEPS成長かを判断しやすくなります。株式投資の始め方で基本を確認した後は、まず複数年のEPS推移を追うと決算を読みやすくなります。
【中級編①】PERとは何か
① 利益に対して株価が何倍か
PERはPrice Earnings Ratioの略で、株価収益率と呼ばれます。計算式は「株価÷EPS」です。株価2,000円、EPS200円ならPERは10倍です。
PER10倍は、現在の1株利益の10倍の価格で株式が取引されている状態を表します。ただし、利益が今後も同じという保証はなく、10年で投資額を回収できるという意味でもありません。
② 高PERになる主な理由
利益の高成長が期待される会社は、将来の利益を先に織り込んでPERが高くなる場合があります。事業の安定性、ブランド、参入障壁、資本効率の高さが評価されることもあります。
期待が高いほど、成長率が少し鈍っただけで株価が大きく下がる可能性があります。PERの高さは品質への評価であると同時に、期待外れへの弱さにもなります。
③ 低PERになる主な理由
低PERは株価が利益に比べて低い状態ですが、市場が将来の減益、財務不安、業界縮小、一時利益の反動を予想している場合があります。
景気敏感企業では、好況の頂点で利益が大きくなり、見かけ上のPERが低くなることがあります。その後に利益が減れば、株価が変わらなくてもPERは上がります。「低PER=割安」と即断せず、利益が平常水準かを考えます。
④ 赤字企業のPER
EPSがマイナスなら、通常のPERは意味のある形で計算できません。情報サイトで「―」と表示されるのはこのためです。赤字企業を評価するときは、売上成長、粗利益率、営業キャッシュフロー、黒字化までの資金余力など別の視点が必要です。
【中級編②】PBRとは何か
① 純資産に対して株価が何倍か
PBRはPrice Book-value Ratioの略で、株価純資産倍率と呼ばれます。計算式は「株価÷1株当たり純資産(BPS)」です。
株価1,500円、BPS1,000円ならPBRは1.5倍です。JPXは、PERが株価と利益というフローの関係を表すのに対し、PBRは株価と株主資本というストックの関係を表すと説明しています。
② PBR1倍の意味
PBR1倍は、株式市場での時価総額と帳簿上の自己資本が同程度という状態です。しかし、会社を解散すればBPS相当がそのまま株主へ戻るという意味ではありません。
資産の売却価格が帳簿価格を下回ること、負債や撤退費用が生じること、ブランドや人材など帳簿に十分表れない価値があることも考えられます。
③ 低PBRが続く理由
PBRが低い会社には、自己資本を十分な利益へ変えられていない、余剰資産を活用できていない、将来の損失が懸念されている、といった背景があり得ます。
銀行や保険など資産と負債が事業の中心となる業種と、ソフトウェアやサービスなど無形資産が競争力の中心となる業種では、PBRの意味合いが異なります。同業比較が基本です。
【中級編③】ROEとは何か
① 株主の元手を使う効率
ROEはReturn on Equityの略で、自己資本当期純利益率と呼ばれます。JPXの定義では、当期純利益を前期と当期の自己資本の平均値で割ります。
自己資本1,000億円を使って当期純利益100億円を得た場合、単純化したROEは10%です。株主の資本を使ってどれだけ利益を上げたかを見る指標です。
② ROEは三つに分解できる
ROEは概念上、次の三要素に分けて考えられます。
- 売上高利益率:売上からどれだけ利益を残したか
- 総資産回転率:資産を使ってどれだけ売上を作ったか
- 財務レバレッジ:自己資本に対してどれだけ資産を持つか
この分解により、高ROEが高い利益率によるものか、資産効率によるものか、借入金を多く使った結果かを確認できます。
③ 高ROEでも安全とは限らない
借入金を増やして自己資本を小さくすれば、利益が同じでもROEが高くなる場合があります。自社株買いで自己資本が減った場合も同様です。
高ROEを見るときは、自己資本比率、有利子負債、利払い能力、営業キャッシュフローを確認します。業種ごとに通常の財務構造が違うため、異業種間の単純比較は避けます。
④ 低ROEの背景
低ROEには、利益率が低い、使われていない現金や資産が多い、大きな投資の回収前、といった複数の理由があります。成長投資の途中なら将来改善する可能性がありますが、長年低いままなら資本配分を確認します。
【上級編①】4指標をつなげて読む
① EPSで利益の方向を確認する
最初に複数年のEPSを見て、1株利益が成長、横ばい、減少のどれかを確認します。1年だけ急増している場合は、決算資料で特別利益や税効果を探します。
② ROEで利益の質を考える
次に、利益を生むためにどれだけの自己資本を使ったかをROEで見ます。EPSが伸びていても、大規模な増資で自己資本がそれ以上に増えていれば、資本効率が低下する場合があります。
③ PERで成長期待の価格を測る
EPSとROEが良好でも、株価が期待を大きく織り込んでいればPERは高くなります。将来利益がどの程度増えれば現在の評価を正当化できるか、会社予想や中期計画を確認します。
④ PBRで資本と市場評価の関係を見る
PBRとROEは関係があります。高いROEを持続し、資本コストを上回る収益を上げると期待される会社は、PBRが高く評価される場合があります。ただし、成長率、財務リスク、株主還元なども株価へ影響します。
JPXプライム150指数でも、資本収益性を見る指標としてROEと株主資本コストの差、株価評価を見る指標としてPBRを用いています。ROEとPBRを別々に見るより、会社が資本から価値を生み出しているかという一つの流れで考えられます。
【上級編②】実際の比較手順
① 同じ業種の会社を並べる
事業モデルが近い会社を3〜5社並べ、EPS成長率、ROE、PER、PBRを同じ時点・同じ基準で比較します。メガバンク3社の比較のように、銀行では一般企業と異なる自己資本規制や収益構造も踏まえる必要があります。
② 5年程度の推移を見る
単年の指標は景気、為替、資産売却、減損などに左右されます。複数年を並べると、通常の収益力と一時要因を分けやすくなります。
株式分割は1株当たり数値を変えますが、通常は過去数値も分割後基準に調整されます。異なる資料を組み合わせるときは、調整済みか確認します。
③ 会社予想の前提を読む
予想PERを使うなら、予想EPSの前提を確認します。為替、資源価格、金利、販売数量などが変われば、業績予想も変わる可能性があります。
④ 数値の理由を文章で確認する
決算短信の数値だけでなく、決算説明資料、有価証券報告書、中期経営計画を読みます。指標が変わった理由を文章で説明できないうちは、数字だけで結論を出さない方が安全です。
【注意点】よくある4つの誤解
① 低PERなら必ず上がる
低PERには、将来の減益や事業リスクが織り込まれている場合があります。利益が維持できる根拠を確認することが先です。
② PBR1倍割れなら解散価値より安い
BPSは会社の資産を市場価格で売却した手取り額ではありません。資産の質、負債、事業継続に必要な資金を考える必要があります。
③ ROEは高いほど無条件によい
過大な借入や自己資本の減少でもROEは上がります。利益率と財務健全性に分解して確認します。
④ EPSが上がれば本業も成長した
自社株買い、一時利益、税効果でもEPSは上がります。売上、営業利益、営業キャッシュフローと整合しているかを見ます。
【関係編】PBR=ROE×PERをどう使うか
① 数式で三つの指標がつながる
単純化すると、PBRはROEとPERの積として表せます。
PBR=株価÷BPS
PER=株価÷EPS
ROE=EPS÷BPS
したがって「ROE×PER=(EPS÷BPS)×(株価÷EPS)=株価÷BPS=PBR」となります。実際の公表値では期中平均自己資本、期末BPS、予想EPSなど計算時点が違い、完全に一致しないことがありますが、考え方を整理するのに役立ちます。
② 高PBRを二つに分ける
PBRが高い理由は、大きく「ROEが高い」と「将来期待によってPERが高い」に分けられます。高ROEを安定して続ける会社が高く評価されている場合と、現在の利益は小さくても将来成長への期待でPERが高い場合では、リスクが違います。
③ 低PBRを二つに分ける
PBRが低い会社では、ROEが低いのか、PERが低いのかを確認します。余剰資産が多くROEが低い会社なら資本効率改善が課題です。ROEが高いのにPERが低い場合は、利益の持続性や財務リスクを市場が懸念している可能性があります。
④ PBR1倍だけを目標にしない
PBR1倍は分かりやすい境界ですが、1倍を超えれば経営課題がなくなるわけではありません。大切なのは、投資家が求める収益率を上回る資本収益性を持続し、成長と還元を通じて1株価値を高められるかです。
【ケーススタディ】4指標の組み合わせを読む
① EPS成長・高ROE・高PER
成長と資本効率が評価されている組み合わせです。今後の利益成長が市場期待を下回るとPERが下がり、EPSが増えても株価が下落する場合があります。会社予想だけでなく、需要、市場規模、競争優位を確認します。
② EPS横ばい・高ROE・低PER
成熟企業や景気敏感企業で見られることがあります。高ROEが利益率によるものか、借入や自己資本の小ささによるものかを確認します。低PERには将来減益の予想が含まれている可能性があります。
③ EPS減少・低ROE・低PBR
利益と資本効率の両方に課題があり、市場評価も低い状態です。単に「解散価値より安い」と考えず、赤字事業の整理、資産売却、成長投資、株主還元など改善策と実行状況を見ます。
④ EPS成長・ROE低下
利益は増えても、増資や大型投資で自己資本がそれ以上に増えるとROEが下がる場合があります。投資の回収前なら一時的な低下かもしれません。会社が示す投資回収時期と利益計画を確認します。
⑤ EPS横ばい・ROE上昇
自社株買い、資産圧縮、借入増加などで自己資本が減り、ROEが上がる場合があります。資本効率改善として合理的でも、財務余力が下がっていないかを確認します。
【補助指標】4指標だけで足りない部分を補う
① 売上高営業利益率
本業で売上からどれだけ利益を残したかを見ます。ROEが高い理由が事業の利益率なのか、財務レバレッジなのかを分ける助けになります。
② 自己資本比率と有利子負債
高ROEの裏に過大な借入がないかを確認します。金融業は一般企業と構造が違うため、規制資本や業種固有指標を使います。
③ 営業キャッシュフロー
EPSが会計上の利益だけで増えていないかを確認します。長期的に利益と営業キャッシュフローが同じ方向へ伸びるかを見ます。
④ 配当性向と自社株買い
EPS成長が株主へどう還元されているか、成長投資とのバランスを確認します。自社株買いによるEPS押し上げと、本業利益の成長を分けて記録します。
⑤ ROIC
ROICは、株主資本だけでなく有利子負債も含む投下資本から、事業がどれだけ利益を生んだかを見る考え方です。定義が会社ごとに異なることがあるため、IR資料の計算式を確認します。
【情報確認】数値が違うときの原因
同じ会社でも情報サイトと決算資料でPERやROEが違うことがあります。主な原因は、株価の時点、実績・予想EPS、連結・単体、期末・期中平均の自己資本、株式分割の調整、会社独自の調整後利益です。
比較表を作るときは、出典日、実績か予想か、会計年度を記録します。判断に使う重要な数字は情報サイトだけでなく会社の決算短信・有価証券報告書へ戻って確認します。
【よくある疑問】指標を調べるとき
① 株価はいつの値を使うか
比較する会社すべてを同じ日の終値にそろえます。決算期末のPBRと現在の予想PERを混ぜると、評価時点がずれます。
② 予想EPSは会社予想と市場予想のどちらか
どちらにも用途がありますが、比較表では同じ種類に統一します。会社予想は公式資料で確認しやすく、市場予想は複数の分析者の見方を含みます。予想の出所と更新日を記録します。
③ 指標に絶対的な合格点はあるか
業種、成長率、金利、景気で適正水準が変わるため、一律の合格点はありません。自社の過去と同業他社を比較し、数値が違う理由を説明できるかを重視します。
まとめ
- EPSは1株当たり利益で、利益成長を見る土台になる
- ROEは自己資本を使って利益を生む効率を示す
- PERは利益に対する株価、PBRは純資産に対する株価を示す
- ROE・EPSは会社の収益、PER・PBRは市場評価という二組に分けると理解しやすい
- 低PER・低PBRだけで割安、高ROEだけで優良とは決められない
- 実績と予想、計算時点、業種をそろえて比較する
- 5年程度の推移と決算資料の説明を合わせて読む
4指標は銘柄を自動で選ぶ答えではなく、会社の利益、資本、市場の期待を結びつける共通言語です。総合商社7社の比較など同業比較の記事でも、数値の高低だけでなく事業構成と利益の安定性を合わせて見ると理解が深まります。
よくある質問
Q. PERとPBRの違いは?
PER(株価収益率)は「利益」に対して株価が割高か割安かを、PBR(株価純資産倍率)は「純資産(資産から負債を引いたもの)」に対して株価がどうかを示します。利益で見るか、資産で見るかの違いです。どちらも低いほど割安に見えますが、それだけで買い判断はできません。
Q. ROEとは何ですか?
ROE(自己資本利益率)は、株主が出したお金を使ってどれだけ効率よく利益を稼いだかを示す指標です。高いほど効率的とされますが、借入を増やすと見かけ上高くなることもあるため、財務の健全さとあわせて見ます。数字の出どころは決算書で、決算書の読み方もあわせてどうぞ。
Q. PERは何倍だと割安ですか?
適正な水準は業種や成長性によって大きく異なり、「低いから割安」とは限りません(成長期待が低いために低PERということもあります)。同業他社や過去の水準と比べて判断するのが基本です。
Q. EPSとは何ですか?
EPS(1株当たり利益)は、会社全体の利益を発行済み株式数で割った「1株あたりの利益」です。PERの計算にも使われ、年々増えているかどうかが成長を見るうえで大切です。
参考リンク(出典)
この記事に出てきた投資用語
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