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「ダウの犬」戦略とは?高配当株投資の仕組みと日本版のやり方

「ダウの犬(Dogs of the Dow)」戦略を初心者向けに解説。高配当利回りの上位銘柄を機械的に買う仕組みと起源、具体的な手順、メリットと注意点、日経平均高配当株50指数を使った日本版や派生戦略まで整理します。

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高配当株入門第9回/全9回
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「ダウの犬(Dogs of the Dow)」は、アメリカで生まれた有名な高配当株の投資戦略です。ざっくり言えば、大型の優良株のうち、配当利回りが高くなった(=株価が安くなった)銘柄を機械的に買い、配当を受け取りながら株価の回復も狙うという、シンプルなルールにもとづく方法です。当ブログ「ダウの犬小屋」の名前も、この戦略に由来しています。

 この記事では、「ダウの犬」戦略の生い立ちと仕組み、実際の手順、メリットと注意点、そして日本株で試す「日本版ダウの犬」のやり方(日経平均高配当株50指数を使う方法や派生戦略まで)を、初心者にもわかるように整理します。特定の銘柄を推奨するものではなく、戦略の考え方を理解するための解説です。高配当株の基礎は高配当株コレクターもあわせてどうぞ。

【初級編】「ダウの犬」戦略とは何か

① 名前の由来 ―― 不人気になった「負け犬」を拾う

 「ダウ」とは、アメリカの代表的な株価指数「ダウ工業株30種平均」を指します。この30銘柄は、いずれもアメリカを代表する大型の優良企業です。「犬(Dogs)」は、そのなかで一時的に株価が下がり、不人気になった銘柄を、愛着を込めて「負け犬」と呼んだものです。

 優良企業でも、市場全体の地合いや一時的な不振で株価が下がることがあります。そうした「今は不人気だけれど、底力のある大型株」を拾おう、というのがこの戦略の発想です。

② 誰が広めたのか ―― 1991年の一冊がきっかけ

 この戦略を有名にしたのは、アメリカの投資家マイケル・オヒギンズ(Michael B. O’Higgins)が1991年に出した著書『Beating the Dow(ダウに勝つ)』です。「難しい分析をしなくても、ダウ30の高配当銘柄を機械的に買うだけで市場平均に対抗できる」と紹介し、大きな反響を呼びました。

 考え方のルーツはさらに古く、1950年代の学術論文や1980年代前半の経済紙でも近い着想が論じられていたとされます。オヒギンズは1920年代までさかのぼって過去データで検証し、この方法が長期では市場全体に見劣りしない成績だったと示しました。ただし、これは「過去にそうだった」という話であり、将来を保証するものではありません(注意点は後半でくわしく触れます)。

③ 基本ルール ―― 高配当上位10銘柄を等金額で買う

 「ダウの犬」戦略の代表的なやり方は、次のとおりです。1年を1サイクルとして、これを毎年くり返します。

ステップやることねらい
① 選ぶ対象指数(ダウ30)から配当利回りの高い上位10銘柄を選ぶ割安になった優良株を拾う
② 買うその10銘柄を等金額(同じ金額ずつ)で買う特定銘柄への偏りを防ぐ
③ 待つ1年間そのまま保有し、配当を受け取る株価の回復と配当の両取り
④ 入れ替える1年後、また利回り上位10銘柄に入れ替えるルールを機械的にくり返す

 銘柄を選ぶのに難しい分析はいらず、「利回りの高い順に上位10社」という機械的なルールで進められるのが特徴です。

④ 具体例で見る ―― 100万円ならどう買う?

 たとえば、投資に回せるお金が100万円あったとします。ダウの犬のルールなら、利回り上位10銘柄に、それぞれ10万円ずつ(100万円 ÷ 10銘柄)を割り振って買います。1年後に配当を受け取りつつ、また利回り上位10銘柄を選び直し、外れた銘柄を売って新しく入った銘柄を買う――これをくり返すだけです。

 金額はあくまで説明用の一例で、実際には売買単位(何株から買えるか)や手数料の兼ね合いで、きっちり等金額にならないこともあります。それでも「同じ金額ずつに分けて、1年ごとに見直す」という骨組みは変わりません。

⑤ なぜ高配当上位を狙うのか

 配当利回りは「配当 ÷ 株価」で計算されるため、株価が下がると利回りは上がります。つまり利回り上位の銘柄は、「配当は出るのに株価が安くなっている」状態にあることが多いのです。そこを買って、株価の回復と配当の両方を取ろう、という逆張り的な考え方です。配当利回りそのものの見方は配当利回りとはの基礎とあわせて押さえておくと理解が深まります。

【中級編】この戦略のメリットと考え方

① ルールが機械的でわかりやすい

 最大の魅力は、感情を挟まずに実行できるシンプルさです。「利回り上位10銘柄を等金額で、1年ごとに入れ替える」だけなので、初心者でも手順を再現しやすく、値動きに一喜一憂して売買を繰り返す失敗を避けやすくなります。

② 大型優良株が中心で安定しやすい

 対象がダウ30という大型優良株なので、いきなり倒れるような小型の不安定な銘柄を掴みにくい、という安心感があります。配当を受け取りながら保有する点も、高配当株投資の考え方と相性がよい戦略です。

③ ほかの投資法とくらべると

 「ダウの犬」は高配当株の買い方のひとつですが、指数まるごとに投資するインデックス投資や、自分でじっくり銘柄を選ぶやり方とは性格が違います。ざっくり整理すると次のようになります。

観点ダウの犬戦略インデックス投資自分で高配当を選ぶ
銘柄の選び方利回り上位を機械的に指数をまるごと自分で分析して選ぶ
手間年1回の入れ替えほぼ不要(積立向き)継続的な分析が必要
分散10銘柄程度でやや限定的数百〜数千銘柄で広い選び方しだい
向いている人ルールで淡々と続けたい人手間をかけたくない人銘柄研究が好きな人

 「自分で分析するのは大変だけれど、指数まるごとより配当を意識したい」という人にとって、機械的なルールで高配当を狙えるダウの犬は、ちょうど中間の選択肢といえます。

【上級編】日本版「ダウの犬」のやり方

① 日経平均やJPX400で応用する

 この戦略は、日本株にも応用できます。日経平均株価やJPX日経400などの構成銘柄のうち、配当利回りの高い上位数銘柄を選んで等金額で買い、1年ごとに入れ替える、というのが「日本版ダウの犬」の基本形です。日本にも、メガバンクや大手企業など、高配当で知られる大型株が数多くあります。

② 「日経平均高配当株50指数」という既製品を使う

 自分で毎年銘柄を選び直すのが大変なら、あらかじめ同じ考え方を指数にした既製品を使う手もあります。それが、日本経済新聞社が2017年から公表している「日経平均高配当株50指数」です。これは日経平均の構成銘柄のうち予想配当利回りの高い50銘柄で作られ、年1回・6月末に銘柄を入れ替えます。「高配当の銘柄を選び、定期的に入れ替える」というダウの犬の骨格と、発想がよく似ています。

 この指数に連動する投資信託やETFを買えば、自分で50銘柄を管理しなくても、近い効果を手軽に得られます。ダウの犬(10銘柄)より対象が広く分散が効きやすい一方、絞り込みは弱くなる、という違いがあります。

③ 対象と銘柄数は自分で決める

 本家は「ダウ30から10銘柄」ですが、自分で組む日本版では、対象とする指数(日経平均・JPX400など)や、選ぶ銘柄数(5〜10銘柄など)を自分で決めます。銘柄数を増やすほど分散は効きますが、管理の手間は増えます。

④ 新NISAとの組み合わせ

 高配当株を非課税で持てる新NISAとは相性がよい戦略ですが、年1回の入れ替えで売却すると、その分の非課税枠を使い直すタイミングに注意が必要です。制度の注意点は新NISAで高配当株を買う注意点で確認できます。

⑤ 派生形 ―― 「小型ダウの犬(Dow 5)」

 ダウの犬には有名な派生形があります。小型ダウの犬(英語では Small Dogs of the Dow、別名 Dow 5)は、利回り上位10銘柄を選んだあと、そのうち株価の低い5銘柄だけに絞る方法です。銘柄数を半分にして値上がりの伸びを狙う考え方ですが、そのぶん分散はさらに限定的になり、値動きも大きくなりやすい点には注意が必要です。「本家より一歩踏み込んだ上級者向けのアレンジ」と捉えておくとよいでしょう。

【番外編】「ダウの犬」戦略の注意点

① 必ず市場に勝てるわけではない

 「ダウの犬」は有名な戦略ですが、どんな年でも市場平均に勝てる、という魔法ではありません。過去の検証では良い成績だった時期もある一方、市場平均に負ける年も普通にあります。あくまで一つの考え方として、過度な期待をせずに向き合うことが大切です。

② 高利回りの「ワナ」に注意

 利回りが高い銘柄のなかには、業績が悪化して株価が下がり、その後に減配される「見かけの高利回り(バリュートラップ)」も混じります。機械的に上位を拾うと、こうした銘柄も掴む可能性があります。配当がこの先も続きそうかは、配当性向などから配当の持続性を確認する視点でカバーしましょう。

③ 銘柄数が少なく、入れ替えのコストもかかる

 10銘柄前後では分散は限定的で、特定の銘柄や業種に偏ることもあります。また、年1回の入れ替え(売買)には手数料や税金がかかる点も、リターンを考えるうえで見落とせません。

まとめ

 「ダウの犬」戦略は、高配当株投資のもっとも有名な考え方のひとつです。

  • ダウ30の高配当上位10銘柄を等金額で買い、1年ごとに入れ替えるシンプルなルール
  • 1991年のオヒギンズの著書『Beating the Dow』で広まり、名前は不人気の「負け犬」を拾う発想に由来
  • ルールが機械的で、初心者でも再現しやすいのが魅力
  • 日本版は、日経平均やJPX400のほか、「日経平均高配当株50指数」に連動する投信でも近い効果を得られる
  • 派生形に、株価の低い5銘柄へ絞る「小型ダウの犬(Dow 5)」がある
  • ただし、必ず勝てるわけではなく、高利回りのワナ・分散の限界・入れ替えコストには注意

 当ブログ「ダウの犬小屋」は、この戦略の名前にちなんでいます。派手さはなくても、仕組みを理解して、無理なく長く続けられる高配当投資を大切にしたい――そんな思いを込めています。最終的な投資判断は、ご自身の方針とリスク許容度に合わせて行ってくださいね。

よくある質問

Q. 「ダウの犬」戦略とは何ですか?

 アメリカのダウ工業株30種平均の構成銘柄のうち、配当利回りの高い上位10銘柄を等金額で買い、1年ごとに入れ替える高配当株の投資戦略です。不人気で株価が下がった大型優良株を、配当を受け取りながら回復を待つ、という考え方で、1991年のマイケル・オヒギンズの著書『Beating the Dow』で広まりました。

Q. なぜ「犬」と呼ぶのですか?

 優良なダウ30銘柄のうち、一時的に株価が下がって不人気になった銘柄を、「負け犬(Dogs)」に見立てて呼んだものです。その「負け犬」を拾って回復を狙う点が、この戦略の特徴です。

Q. 日本版「ダウの犬」はどうやるのですか?

 日経平均株価やJPX日経400などの構成銘柄から、配当利回りの高い上位数銘柄を等金額で買い、1年ごとに入れ替えます。自分で選ぶのが大変なら、予想配当利回りの高い50銘柄で作る「日経平均高配当株50指数」に連動する投信を使う方法もあります。

Q. 「日経平均高配当株50指数」とダウの犬戦略は同じですか?

 考え方は近いですが、同じではありません。ダウの犬はダウ30から10銘柄を等金額で選ぶのに対し、日経平均高配当株50指数は日経平均から50銘柄を配当利回りに応じたウエートで組み、年1回6月末に入れ替えます。指数に連動する投信を買えば、自分で毎年入れ替えずに済むのが利点です。

Q. 「ダウの犬」戦略は儲かりますか?

 有名な戦略ですが、どんな年でも市場平均に勝てるわけではありません。勝つ年も負ける年もあり、高利回りのワナや分散の限界、入れ替えコストといった注意点もあります。あくまで一つの考え方として理解しましょう。

参考リンク(出典)

本記事は投資戦略の考え方を解説するもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。制度や税金、指数のルールは変わることがあるため、最新の情報もあわせてご確認ください。