米国株

米国株の配当金にかかる税金|新NISA・外国税額控除を解説

米国株の配当金にかかる米国と日本の税金を初心者向けに解説。課税口座と新NISAの違い、日米租税条約、外国税額控除、W-8BEN、米国REITやADRで確認したい注意点を整理します。

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高配当株入門第8回/全9回
目次18項目
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日本居住者が一般的な米国株から配当を受け取ると、通常は米国で源泉徴収された後、課税口座では日本でも課税されます。日米租税条約により、一般のポートフォリオ配当に対する米国側の限度税率は原則10%です。

新NISAでは日本側の税は非課税になりますが、米国側の源泉税は通常残ります。また、課税口座で使える場合がある外国税額控除も、NISA配当では日本の所得税が課されないため同じ効果を期待できません。この記事では口座別の違いと確認手順を整理します。

保有口座米国側の税日本側の税外国税額控除
特定口座・一般口座原則として源泉徴収原則として課税要件・限度額内で申告可能な場合あり
新NISA原則として源泉徴収制度内で非課税NISA配当では通常、控除効果を使えない

※2026年7月時点の一般的な日本居住者・米国普通株を想定した説明です。米国REIT、ADR、LPなど商品や居住状況で扱いが異なります。個別判断は税務署・税理士・証券会社へご確認ください。

【初級編】米国株の配当に二つの国が関係する理由

① 配当の発生地は米国

 米国企業が支払う配当は米国源泉の所得として、まず米国の税制が関係します。日本の証券会社を通じて保有していても、投資先企業が米国にあることは変わりません。

② 日本居住者は日本でも課税対象になる

 日本の居住者は、原則として国外で生じた所得も日本の所得税の対象になります。このため、米国で源泉徴収された配当が、日本でも配当所得として課税対象になる場合があります。

 同じ所得へ二つの国の税が関係するため、租税条約による税率の調整と、外国税額控除による二重課税の調整が設けられています。

③ 日米租税条約の役割

 日米租税条約は、どちらの国がどの範囲で課税できるかを定め、国際的な二重課税を調整します。財務省が公表する条約のポイントでは、一般のポートフォリオ配当に対する源泉地国の限度税率は10%とされています。

 これは一般的な米国普通株の配当を考える基準です。保有割合、受取人の属性、REITなどの種類によって別の扱いになることがあります。

【初級編】課税口座の税金の流れ

① 米国側で源泉徴収

 一般的な日本居住者が米国普通株の配当を受ける場合、租税条約が適用されると米国側で原則10%が源泉徴収されます。証券会社へ必要な届出が適切に行われていることが前提です。

② 残額に日本側の税

 米国側の源泉徴収後の金額に対し、課税口座では日本の所得税・住民税等が源泉徴収されるのが一般的です。証券会社の取引報告書や年間取引報告書には、外国所得税額と国内の税額が分けて表示されます。

③ 単純化した計算例

 税引前配当を100とすると、米国で10が差し引かれ、残り90が日本側課税の計算対象になるイメージです。日本側を20.315%として単純計算すると約18.28が差し引かれ、手取りは約71.72になります。

段階単純化した金額
税引前配当100.00
米国源泉税(10%と仮定)-10.00
日本側課税の対象イメージ90.00
日本側の税(20.315%と仮定)-18.28
手取り約71.72

 実際には端数処理、為替換算、口座区分、申告方法などで異なります。この例は税の順番を理解するための概算です。課税口座と新NISAの流れを並べると、次の図のようになります。

 図の数字はあくまで割合のイメージですが、「米国の税は口座の種類に関係なく引かれる」「日本の税だけがNISAで消える」という構造が一目で分かります。

【中級編①】新NISAで米国株配当を受け取る場合

① 日本側の税は非課税

 新NISA口座で対象となる米国株を購入し、制度内で配当を受け取る場合、日本側の所得税・住民税等は非課税になります。新NISAの仕組みで扱う非課税メリットは、米国株の売却益にも適用されます。

② 米国側の税は通常残る

 NISAは日本の制度なので、米国が源泉地国として課す税まで自動的に免除するものではありません。一般的な米国普通株の配当では、NISAでも米国側の源泉税が差し引かれるのが通常です。

 税引前配当100、米国源泉税10と単純化すれば、NISAの手取りは約90というイメージです。課税口座より日本側の税がない分、手取りは多くなります。

③ NISAでは外国税額控除を使いにくい

 外国税額控除は、国外所得に外国所得税が課され、同じ所得へ日本の所得税も関係する場合に、一定の限度額内で日本の所得税から控除する仕組みです。

 NISAの配当には日本の所得税が課されないため、そのNISA配当に対して差し引かれた米国税を、日本の所得税から同じように控除することは通常できません。このため「NISAなら米国株配当の税金が完全にゼロ」とは限りません。

④ 非課税メリットと配当利回りを分ける

 NISAで日本側税がなくても、会社の減配、株価下落、為替変動は残ります。NVIDIAの事業とリスクのような成長企業では配当が投資判断の中心でない場合もあり、配当利回りだけで米国株を選ぶ必要はありません。

【中級編②】外国税額控除とは何か

① 日本の所得税から一定額を控除する制度

 国税庁は、居住者が外国の法令により所得税に相当する税を負担した場合、所定の計算による限度額まで日本の所得税等から控除できる制度を案内しています。

 米国株配当で米国源泉税と日本の所得税が重なる場合、課税口座の外国税について外国税額控除を検討できます。

② 全額が必ず戻るわけではない

 外国税額控除には、日本の所得税額、国外所得、総所得などを使う控除限度額があります。外国で差し引かれた税がそのまま全額還付される制度ではありません。

 所得が少ない、他の税額控除が大きい、国外所得に対する限度額が小さいなどの理由で、控除し切れないことがあります。地方税にも別の計算があります。

③ 確定申告が必要

 外国税額控除を受けるには、原則として確定申告で明細書や証明資料を提出・保存します。証券会社の年間取引報告書、配当金等の支払通知書、外国税の明細などを確認します。

 特定口座(源泉徴収あり)で申告不要を選べる配当でも、外国税額控除を使うために申告すると、所得税だけでなく住民税、国民健康保険料、扶養判定などへ影響する場合があります。税額だけでなく全体への影響を確認します。

④ 配当控除とは別制度

 日本の配当控除は、国内法人から受ける一定の配当を総合課税で申告した場合の制度です。国税庁は、外国法人から受ける配当は配当控除の対象にならないと案内しています。

 米国株配当で検討するのは一般に外国税額控除であり、国内株の配当控除と混同しないようにします。

【中級編③】W-8BENの役割

① 米国外の受益者であることを示す書類

 W-8BENは、個人が米国の税務上、米国外の受益者であることや租税条約上の扱いを示すために使われる米国内国歳入庁(IRS)の書類です。

 日本の証券会社では、口座開設時や米国株取引の申込み時に必要情報を提出し、証券会社が関連手続を行うことがあります。利用者が紙の様式を直接IRSへ送るとは限りません。

② 未提出・期限切れの影響

 必要な確認ができない場合、租税条約の軽減税率ではなく、米国内法上のより高い源泉税率が適用される可能性があります。証券会社から更新依頼が来たら放置せず対応します。

③ 登録情報を最新にする

 氏名、住所、居住国などが変わった場合は証券会社へ届け出ます。税務書類の有効期間や更新方法は証券会社ごとに案内を確認します。

【背景編】日米租税条約と「10%」のなりたち

① 原則は30%、条約で10%に軽減

 米国の国内法では、米国外の居住者へ支払われる配当に対して原則30%の源泉徴収が定められています。日本の個人投資家が10%で済んでいるのは、日米租税条約という2国間の取り決めが優先して適用されているためです。

 W-8BENなどにより「日本の居住者である」ことを示す手続きが整っていて初めて、この条約税率が適用されます。手続きに不備があると原則の30%が差し引かれる可能性がある、という関係です。前章のW-8BENが重要なのはこのためです。

② 現行条約は2004年発効、2019年に改正議定書

 日米間の租税条約には長い歴史があり、現在の条約は2004年に発効したものです。その後、2013年1月に署名された改正議定書が、米国側の批准手続きの遅れで約6年後の2019年8月30日に発効しました。源泉徴収については、2019年11月1日以後に支払われる配当・利子などへ適用されています。

 この改正では、親会社が子会社から受け取る配当の免税範囲の拡大や、利子に対する源泉税の原則免除など、主に企業間投資に関わる部分が見直されました。個人投資家の一般的な株式投資(ポートフォリオ投資)に対する配当の限度税率10%は、改正後も変わっていません。

③ 個人投資家が覚えるのは「10%」でよい

 条約には持株割合に応じた5%や免税の区分もありますが、これは発行済株式の10%や50%を保有するような法人株主に関する話です。日本の個人が証券会社を通じて米国株を保有する場合に関係するのは、原則として10%の区分と考えて差し支えありません。ただしREITなど商品による違いは、次章のとおり別に確認が必要です。

【上級編①】米国REIT・ADR・特殊な商品

① 米国REIT

 米国REITの分配は、一般の普通株配当と同じ扱いにならない場合があります。租税条約にもREITに関する条件があり、保有割合や商品性によって源泉税率が異なる可能性があります。

 高い分配利回りだけで判断せず、証券会社の商品説明、税率、過去の支払明細を確認します。

② ADR

 ADR(米国預託証券)は、米国外企業の株式を裏付けとして米国市場などで取引できる証券です。企業の本国での源泉税、ADR管理手数料が差し引かれる場合があります。

 米国市場で売買できるからといって、配当の源泉地が必ず米国になるわけではありません。発行企業の本国と租税条約を確認する必要があります。

③ MLP・LPなど

 Master Limited Partnership(MLP)などパートナーシップ型の商品は、通常の株式会社の配当と異なる税務処理や高い源泉徴収が生じることがあります。初心者が「米国高配当株」と一括りにしない方がよい分野です。

④ ETFの分配金

 米国籍ETFの分配金にも米国源泉税が関係します。日本籍の投資信託や国内上場ETFでは、ファンド内部の外国税と国内での分配時課税を調整する制度があり、直接米国株を保有する場合とは見え方が異なります。

 S&P500の仕組みへ投資する方法でも、米国籍ETF、国内上場ETF、日本の投資信託で税・手数料・分配方針が違います。

【関連制度編】投資信託・国内ETF経由なら二重課税調整が自動

① 2020年から始まった自動調整の仕組み

 米国株を直接保有せず、外国資産に投資する日本籍の投資信託や国内上場ETFを通じて保有する場合には、「投資信託等の二重課税調整制度」という別の仕組みがあります。2020年1月1日以後に支払われる分配金から、ファンドの中で差し引かれた外国の税を考慮して、国内での源泉徴収額が自動的に調整されるようになりました。

 この調整は証券会社・ファンド側で自動的に行われ、投資家の手続きは不要です。確定申告で外国税額控除を使う場合と比べ、手間をかけずに二重課税が緩和される点が特徴です。

② 対象と対象外を区別する

  • 対象になる例=外国株式などへ投資する日本籍の投資信託や国内上場ETFの分配金
  • 対象にならない例=米国株の直接保有や、米国籍ETFの分配金
  • NISA口座の分配金=そもそも日本側が非課税のため、この調整の対象外

 米国籍ETFや米国株を直接保有する場合は、この記事で説明してきた外国税額控除の検討が必要なままです。同じ指数に投資する場合でも、日本の投資信託経由か米国籍ETFの直接保有かで、二重課税の調整のされ方が変わることは知っておいて損がありません。

【上級編②】為替と手数料も手取りを変える

① 円換算額は為替で変わる

 米ドルで同じ配当額を受け取っても、円高なら円換算額は小さく、円安なら大きくなります。ドル建て配当が安定していても、日本円での生活費としては変動します。

② 外貨受取と円貨受取

 証券会社によって、配当を米ドルで受け取るか、自動で円へ換えて受け取るかが異なります。円貨受取では為替手数料や適用為替レートを確認します。

③ 配当再投資にもコストがある

 受け取った配当で追加購入する場合、売買手数料、為替手数料、最低購入単位などが影響します。手数料無料と表示されていても、為替コストやスプレッドが残る場合があります。

【実践編】配当明細の確認手順

① 税引前配当を確認する

 企業が発表した1株当たり配当、保有株数、権利確定日を照合します。株式分割や保有期間中の売買がある場合は株数を確認します。

② 外国源泉税を確認する

 支払通知書で、現地通貨の税引前配当、外国税額、税率を見ます。想定より税率が高い場合は、REIT・ADR等の商品性、税務書類の状況を証券会社へ確認します。

③ 国内税を確認する

 課税口座なら所得税・住民税等、NISAなら日本側が非課税になっているかを確認します。口座区分を取り違えていないかも見ます。

④ 為替換算と手数料を確認する

 円貨受取の場合は適用為替レート、外貨受取の場合は外貨残高を確認します。証券会社の画面で「税引前」「税引後」「円換算」のどれを表示しているかを区別します。

⑤ 年間資料を保存する

 外国税額控除を検討する場合に備え、年間取引報告書や配当支払通知書を保存します。電子交付の閲覧期間が限られる場合は、早めにダウンロードします。

【比較編】口座ごとの手取りを考える

① 課税口座で申告しない場合

 特定口座(源泉徴収あり)などで国内税が源泉徴収され、確定申告をしない選択をすると、手続は比較的簡単です。一方、米国源泉税に対する外国税額控除は利用しません。

 申告不要が有利かは、控除可能額だけでなく申告による他制度への影響も含めて判断します。

② 課税口座で外国税額控除を申告する場合

 控除限度額の範囲で日本の所得税等から外国税を調整できる可能性があります。米国で10差し引かれたから必ず10戻るわけではなく、日本の所得税額と国外所得の割合などで決まります。

③ NISAの場合

 日本側課税がないため、同じ税引前配当なら課税口座より手取りが多くなるのが一般的です。しかし米国源泉税は残り、NISAの外国税について外国税額控除を使ってさらに取り戻すことは通常できません。

④ 配当を出さない成長株との比較

 米国企業には利益を配当せず事業へ再投資する会社もあります。NISAでは売却益も非課税なので、配当手取りだけでなく、事業の成長、株価評価、分散を含む総合的なリターンで考えます。

⑤ 数字のイメージ:年間30万円の配当なら

 税引前で年間30万円の配当を受け取る場合を、これまでの前提(米国10%・日本20.315%)で単純計算してみます。

口座米国源泉税日本側の税手取り
課税口座(申告なし)3万円約5万4,851円約21万5,149円
新NISA3万円0円27万円

 同じ30万円でも、手取りは約5万5,000円変わる計算です。課税口座で外国税額控除を申告すれば、限度額の範囲で米国分3万円の一部または全部が調整される可能性がありますが、戻る額は所得状況によって変わります。実際には端数処理や為替で金額は動くため、あくまで規模感の目安としてください。

【申告編】外国税額控除を検討する手順

① 年間の外国税額を集計する

 証券会社の年間取引報告書や外国株式等配当金の通知書から、国別・通貨別の税引前配当と外国税額を確認します。複数の証券会社を使う場合は合算が必要です。

② 円換算を確認する

 確定申告では外貨額だけでなく円換算額を使います。証券会社の年間資料に円換算額が記載されているか、どの為替レートが使われているかを確認します。

③ 日本側の配当の課税方法を決める

 上場株式等の配当について、申告不要、申告分離課税、総合課税などの選択が関係します。ただし外国法人配当は日本の配当控除の対象外です。売却損との通算や他の所得を含めて検討します。

④ 控除限度額を計算する

 国税庁の外国税額控除に関する明細書を使い、所得税・復興特別所得税・住民税の順に限度額を計算します。控除余裕額・控除限度超過額は一定の範囲で繰越制度が関係する場合があります。

⑤ 関連資料を保管する

 外国税額を課されたことを示す書類、配当の支払通知、計算明細を保管します。電子交付書類は証券会社の保存期間が終わる前に取得します。

【誤解しやすい点】税率の表示を読み分ける

① 「10%」は最終手取り率ではない

 一般の米国普通株で説明される10%は米国側の源泉税率の基準であり、課税口座ではその後に日本側税が関係します。証券会社が表示する配当利回りは通常、税引前です。

② NISAでも完全非課税とは限らない

 NISAの「配当非課税」は日本側の制度上の扱いです。投資先国の税、ADR手数料、為替手数料までゼロになるという意味ではありません。

③ 外国税額控除と還付は同じではない

 外国税額控除は日本の所得税額から控除する仕組みです。控除できる日本の税額が小さければ、外国税全額を回収できない場合があります。

④ 証券会社の自動処理にも条件がある

 租税条約税率の適用には、口座情報や税務上の居住地確認が適切であることが必要です。住所変更や書類更新の連絡を放置しないようにします。

【よくある疑問】米国株配当の確認

① 米国株の売却益にも米国税がかかるか

 日本居住者が通常の米国株を証券会社経由で売却する一般的なケースでは、配当と売却益で米国側の扱いが異なります。居住状況、米国での滞在、特殊な商品などで変わるため、この記事の配当税率を売却益へそのまま当てはめないでください。

② 配当をドルで受け取れば税金は変わるか

 ドル受取か円受取かで源泉税そのものがなくなるわけではありません。違いは為替交換の時期、手数料、外貨の管理です。税務上は所定の方法で円換算した金額を使います。

③ 米国源泉税が10%より高いとき

 W-8BEN等の居住者確認、商品が普通株かREIT・ADR・LP等か、発行体の所在国、証券会社の表示を確認します。自己判断で申告せず、支払明細を示して証券会社へ問い合わせます。

④ 少額なら外国税額控除を使うべきか

 控除見込額だけでなく、申告の手間、他の所得、住民税、保険料、扶養などへの影響を考えます。申告すれば必ず家計全体で有利になるとは限りません。

⑤ 配当の二重課税は完全になくせるか

 外国税額控除には限度額があり、NISAでは日本側税がないため外国税を通常の方法で控除できません。商品・口座によって一部の税負担が残る前提で税引後手取りを比較します。

【注意点】税金だけで口座を決めない

① NISA枠の機会費用

 米国高配当株をNISAへ入れると日本側の配当税を減らせますが、その分の成長投資枠を他の商品には使えません。長期の期待リターン、分散、売買頻度も含めて考えます。

② 損益通算できない

 NISA口座で米国株が値下がりして売却損が出ても、課税口座の利益と損益通算できません。配当の非課税メリットと値下がりリスクを両方見ます。

③ 税制と条約は変わり得る

 税率、条約、NISA対象商品、証券会社の取扱いは変わる可能性があります。配当を受け取る年の国税庁、財務省、金融庁、証券会社の最新案内を確認します。

まとめ

  • 一般的な米国普通株の配当は、米国で原則10%の源泉税が関係する
  • 課税口座では米国税の後に日本側の税も課されるのが一般的
  • 新NISAでは日本側は非課税だが、米国側の税は通常残る
  • 外国税額控除は要件と限度額があり、全額が必ず戻るわけではない
  • NISA配当では日本の所得税がないため、外国税額控除を同じように使えない
  • 外国法人の配当は日本の配当控除の対象外
  • REIT、ADR、MLP、ETFは普通株と税務上の扱いが異なる場合がある
  • 税引後の手取りには為替と手数料も影響する

 米国株配当の税金は、「米国源泉税」「日本側課税」「口座区分」の三段階に分けると理解しやすくなります。まず支払通知書で実際の税額を確認し、確定申告が有利かは自分の所得・保険料等への影響を含めて判断しましょう。

よくある質問

Q. 米国株の配当にかかる税金は合計何%?

 課税口座では、米国で原則10%が引かれ、その残りに日本で20.315%が課されるため、単純計算で税引前のおよそ28.3%が差し引かれます(2026年7月時点・一般的な米国普通株の場合)。新NISAなら日本側が非課税のため約10%です。計算の流れは本文の【初級編】をご覧ください。

Q. NISAなら米国株の配当は非課税ですか?

 日本側の税は非課税になりますが、米国側の源泉税(原則10%)は通常残ります。「完全に無税」ではない点に注意してください。また、NISAで引かれた米国税を外国税額控除で取り戻すことも通常できません。詳しくは本文の【中級編①】で説明しています。

Q. 外国税額控除でいくら戻ってきますか?

 一律には決まりません。日本の所得税額や国外所得の割合から計算される控除限度額の範囲内で調整されるため、米国で引かれた税の全額が戻るとは限りません。所得が少ない年は控除し切れないこともあります。仕組みは【中級編②】、手順は【申告編】をご覧ください。

Q. W-8BENとは何ですか?

 米国の税務上、自分が米国外の受益者であることを示すための書類です。これに基づく確認が整っていると、日米租税条約の軽減税率(配当は原則10%)が適用されます。日本の証券会社では口座開設時などに手続きが組み込まれていることが多く、更新の案内が来たら放置しないことが大切です。

Q. 投資信託でも米国株の配当は二重課税になりますか?

 外国資産に投資する日本籍の投資信託や国内上場ETFでは、2020年1月から始まった二重課税調整制度により、分配金の国内源泉徴収が自動で調整されます。確定申告は不要です。一方、米国株の直接保有や米国籍ETFはこの制度の対象外で、外国税額控除の検討が必要です。詳しくは【関連制度編】をご覧ください。

参考リンク(出典)