米国株

SpaceX上場後の株価を検証|IPO価格135ドルは割高だったのか

SpaceXは2026年6月12日にNASDAQへ上場。公開価格135ドル、初値150ドルとなった史上最大規模のIPOを、目論見書の事業・財務・リスクから検証します。

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スペースX(SpaceX)は米国時間2026年6月12日にNASDAQへ上場しました。ティッカーは「SPCX」、公開価格は1株135ドル、初値は150ドル、初日の終値は160.95ドルでした。オーバーアロットメント実行後の最終調達額は約857億ドルです。

上場初日は公開価格を上回りましたが、それだけで割安・割高とは判断できません。この記事では、目論見書(S-1)の事業・財務・リスクと上場初日の結果を分けて確認し、公開価格に織り込まれた期待を整理します。

なお、本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数字は2026年6月29日時点で確認できた開示資料とNASDAQの公表に基づきます。株価や事業環境は変わるため、実際の投資判断では最新の企業開示と証券会社の情報をご確認ください。


【ヘッドライン】まずは数字で全体像を

最初に、今回のIPOの骨格を一望しておきます。

  • 上場日:2026年6月12日(米国時間)
  • 上場市場:米NASDAQ、ティッカーシンボルは「SPCX」
  • 公開価格:1株135ドル
  • 初値:1株150ドル
  • 初日終値:1株160.95ドル(公開価格比で約19.2%上昇)
  • 公開価格ベースの企業価値:約1兆7,700億ドル
  • 最終調達額:約857億ドル(オーバーアロットメント実行後)
  • 上場後のマスクCEOの議決権:8割超を維持と報じられています

当初の調達額は約750億ドルで、オーバーアロットメント実行後は約857億ドルに拡大しました。これまでの大型案件を大幅に上回る、文字どおり「史上最大のIPO」です。

公開価格ベースの企業価値は約1.77兆ドル、初日終値ベースの時価総額は約2.1兆ドルとNASDAQが公表しています。上場初日から世界最大級の企業群に並ぶ規模です。

「未上場のまま巨大化した会社」の代表格

スペースXは2002年の創業以来、約24年間ずっと未上場のまま、ベンチャーキャピタルや機関投資家からの資金調達で成長してきました。個人投資家は「買いたくても買えない」状態が長く続いた、いわば「未上場メガテック」の代表格です。

その会社が今回、史上最大規模のIPOを経て公開市場に出てきました。注目が集まるのは当然と言えます。だからこそ、「買えるようになったから買う」のではなく、「この値段が妥当なのか」を考える材料を持っておきたいところです。


【初級編】IPOの「公開価格」と「割高・割安」の考え方

本題に入る前に、IPOの基本を整理しておきます。「そんなの知ってるよ」という方は、中級編まで読み飛ばしていただいて大丈夫です。

IPOとは何か — 公開価格と初値は別物

IPO(Initial Public Offering=新規株式公開)は、未上場企業が証券取引所に上場し、誰でも株式を売買できるようにすることです。

ここで大事なのが、「公開価格」と「初値」の区別です。

公開価格は、上場前の申込み(抽選・配分)で投資家が買う値段。今回のスペースXなら1株135ドルです。一方、初値は上場日に市場で最初に成立する値段。人気が殺到すれば初値は公開価格を大きく上回りますし、逆もありえます。

つまり「公開価格135ドルは割高か?」という問いと、「上場後の株価で買うべきか?」という問いは、似ているようで別の問題です。本記事では主に前者、つまり「135ドル(企業価値約1.75兆ドル)という値付けそのもの」を検証します。

公開価格はどう決まるのか

通常の米国IPOでは、仮条件のレンジを提示して機関投資家の需要を積み上げ、その強さに応じて価格を決める「ブックビルディング方式」が主流です。

今回のスペースXは、1株135ドルの固定価格で募集され、この点でもやや異例でした。需要に応じて価格を吊り上げる余地を最初から封じた形で、「個人投資家にも分かりやすい固定価格にした」という見方がある一方、価格の妥当性を市場の需要で検証するプロセスが薄くなる、という見方もできます。

「割高・割安」を測る物差し

株の値段が割高かどうかを測る代表的な物差しには、次のようなものがあります。

  • PER(株価収益率):時価総額が「純利益」の何倍か
  • PSR(株価売上高倍率):時価総額が「売上高」の何倍か
  • EV/EBITDA:企業価値が「償却前利益」の何倍か
  • DCF(割引キャッシュフロー):将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて理論値を出す

ここで早速ひとつ問題が出てきます。後述のとおりスペースXは最終赤字なので、一番ポピュラーなPERがそもそも計算できません。赤字成長企業の評価では、PSRやEV/EBITDA、そしてDCF的な「将来からの逆算」が主戦場になります。この記事でも、上級編でこの3つの道具を順番に使っていきます。


【中級編①】スペースXはもはや「ロケット会社」ではない

バリュエーションの前に、「そもそも何の会社なのか」を押さえます。実は今回のS-1で一番驚かれたのは、ここかもしれません。

3つの事業セグメント

報道によれば、S-1上のスペースXは大きく3つのセグメントで構成されています。

第一に「コネクティビティ」。衛星インターネットのスターリンク(Starlink)事業です。低軌道に大量の通信衛星を打ち上げ、世界中にブロードバンドを提供するもので、後述のとおり今や全社売上の約6割を稼ぐ大黒柱です。

第二に「スペース」。ファルコン9による商業打上げサービス、開発中の超大型ロケット「スターシップ」、政府・防衛向けの「スターシールド」などを含む、いわば祖業のロケット部門です。

第三に「AI」。ここが驚きポイントで、目論見書によれば、マスク氏のAI企業xAI(チャットAI「Grok」を開発)や、旧TwitterのX、AI向けデータセンターまでもがスペースXの傘下に整理されています。つまり今回のIPOは、純粋な宇宙企業ではなく「宇宙×通信×AIの複合体(コングロマリット)」への投資という性格を持っています。この企業構造はかなり特殊なので、投資対象として見る場合は、目論見書で組織の建て付けをご自身でも確認することが大切です。

稼ぎ頭はスターリンク

セグメントの中身を数字で見ると、構図がはっきりします。報道ベースでは、2025年のスターリンク事業は売上約114億ドル(全社の約61%)、営業利益約44億ドルと、明確な黒字事業に育っています。

一方、スペース部門はスターシップの開発費が先行し、営業赤字約6.6億ドルと報じられています。さらにAI部門は、巨大データセンター「COLOSSUS」の建設やGrokの学習コストで、年間約64億ドル規模の資金を燃やしているとされています。

つまり現在のスペースXは、「スターリンクが稼いだ利益を、スターシップとAIという2つの超大型先行投資に注ぎ込んでいる」構造です。この構造を頭に入れておくと、次の財務の数字がぐっと読みやすくなります。


【中級編②】S-1で初めて見えた財務の中身

長年ベールに包まれていたスペースXの財務が、今回のS-1で初めて本格的に開示されました。主要な数字を見ていきます(いずれも報道ベース、2025年通期)。

全体の数字 — 売上187億ドル、最終赤字49億ドル

  • 売上高:約187億ドル(前年から大幅増収と報じられています)
  • 最終損益:約49億ドルの赤字
  • 調整後EBITDA:約65.8億ドルの黒字

ポイントは、「最終赤字だが、調整後EBITDAは黒字」という組み合わせです。償却費や一部費用を除いたベースでは資金を生み出し始めているものの、スターシップ開発やAIデータセンターへの巨額投資がそれを上回り、最終では赤字になっている——先ほどの「スターリンクで稼ぎ、スターシップとAIに注ぎ込む」構造そのままの損益計算書です。

赤字企業と聞くと身構えますが、「需要がなくて稼げない赤字」と「成長投資を意図的に先行させる赤字」は分けて考える必要があります。かつてのアマゾンのように、後者のタイプの赤字を続けながら巨大企業に育った例はあります。ただし宇宙開発とAIインフラは、ソフトウェアと比べて桁違いに資本集約的(お金がかかる)な領域です。「先行投資型だから大丈夫」と単純に言い切れないのが難しいところです。

スターリンクの成長カーブ

強気派の最大の根拠が、スターリンクの成長スピードです。報道によれば、契約者数は2023年に約230万、2024年に約440万、2025年に約890万とほぼ倍々ゲームで増え、2026年2月には160の国・地域で1,000万契約を突破したとされています。

売上も2024年の約77億ドルから2025年は約114億ドルへ、約48%の増収。しかも営業黒字。携帯の電波が届かない海上・空・へき地までカバーできる低軌道衛星網は、現時点で実質的に競合不在に近く、「実証済みの成長エンジン」と評価されています。

それでも残る疑問

ここまでを素直に読むと「すごい会社」です。私自身もビジネスとしてのスペースXには素直に感嘆しています。ただし、投資の問いは「すごい会社か?」ではなく「この値段で買ってリターンが出るか?」です。いよいよ本題のバリュエーションに進みます。


【中級編③】日本の個人投資家も参加できた異例のIPO

バリュエーションの前に、日本の個人投資家にとっての実務面を整理しておきます。

国内3社がIPOを取り扱った

米国企業のIPOに日本の個人投資家が上場前から参加できるケースは多くありません。今回は、SBI証券・楽天証券・みずほ証券が取扱いを行い、日本からも公開価格で取得する機会が用意されました。IPOの申込期間はすでに終了しており、現在は通常の米国株と同じように市場で売買されます。

申込時の決済方法は各社で異なり、円貨決済のみの会社と米ドル決済の会社がありました。現在市場で売買する場合も、取引手数料や為替コストは証券会社ごとに異なるため、事前確認が必要です。

日本への配分が「増額」されたという報道

興味深いのは、日本の投資家への配分枠が当初の最大20億ドルから20〜25億ドルへ増額されたと報じられている点です。日本の個人マネーの需要がそれだけ強い、ということの表れと受け止めています。

現在はティッカー「SPCX」として売買できますが、公開価格と市場価格は別物です。IPOで取得できなかったからといって、上場直後の値動きを追いかける必要はありません。事業価値と価格を分けて考えることが大切です。


【上級編①】1.75兆ドルという「値段」を分解する

ここからが本記事の核心です。公開価格135ドル、企業価値約1.75〜1.77兆ドルという値付けを、物差しを当てて測っていきます。

PSR(株価売上高倍率):約95倍

まず一番シンプルなPSRです。企業価値約1.77兆ドルを2025年売上の約187億ドルで割ると、単純計算で約95倍になります。

この数字の異常さは、比較するとよく分かります。細かい数値は時点によって動くので幅を持って見ていただきたいのですが、米国の成熟した大型株のPSRはおおむね1桁台、高成長と評価されるメガテックでも10倍前後〜数十倍が一般的な水準と認識しています(個別の最新値はご自身でご確認ください)。AIブームの主役として「高すぎる」と何度も議論になったエヌビディアでさえ、PSRで語られる水準は数十倍には達していなかったと記憶しています。

PSR95倍がどういう意味かというと、「仮に売上が今の10倍になっても、その時点でまだPSR9.5倍」ということです。売上10倍でようやく「普通の成長株の値段」に追いつく計算で、相当な成長が最初から株価に織り込まれていることが分かります。

EV/EBITDA:ざっくり約270倍

次に、調整後EBITDA約65.8億ドルに対する倍率を見ると、約1.75兆ドル÷65.8億ドルで単純計算約270倍です(手元資金や有利子負債の調整は省いた概算です)。

一般に、EV/EBITDAは10倍前後が標準的、高成長企業でも数十倍で「高い」と言われる物差しです。270倍という数字は、もはや現在の収益力との比較では説明がつかず、「遠い将来の利益への期待」だけで構成されている値段、と解釈するのが実態に近いと思います。

PERは計算不能

そして最終損益は約49億ドルの赤字ですから、PERはそもそも計算できません。

ここまでをまとめると、「現在の業績との比較では、既存のどの物差しでも説明が難しい値段」というのが客観的な状況です。では、この値段を正当化するには、将来どれだけ成長すればいいのか。次の上級編②で、それを「逆算」した試算を紹介します。


【上級編②】割高論の核心 — 「正当化に必要な成長」を逆算する

「値段から将来を逆算する」という考え方

DCF(割引キャッシュフロー)は本来、将来の業績予想から理論株価を計算する道具ですが、これを逆向きに使うこともできます。つまり、「今の株価が正しいとしたら、将来どれだけの業績が必要か」を逆算するアプローチです。期待値投資(expectations investing)とも呼ばれ、ハイパーグロース株の値段を吟味するときに特に有効です。

試算:2035年に売上1.1兆ドルが必要

米Fortune誌が報じた調査会社ニュー・コンストラクツ(David Trainer氏)の試算によれば、企業価値1.75兆ドルを正当化して投資家が年率10%程度のリターンを得るには、スペースXの売上高が2035年に約1.1兆ドルに達する必要があるとされています。

現在の売上は約187億ドルですから、10年で約60倍。年率に直すと約50%の増収を10年間休まず続ける計算です。

この数字がどれほど異常か

約60倍・年率50%と聞いてもピンと来ないので、報道で挙げられていた比較を紹介します。

第一に、売上1.1兆ドルという絶対額。現在の米国企業で最大の売上を誇るアマゾンでも、直近1年間で約7,420億ドルです。スペースXは、今の「米国最大企業」の1.5倍の売上規模に、たった10年で到達しなければならない計算になります。

第二に、成長の傾きです。年率50%を維持した場合、最終年の2035年には、1年間で約3,600億ドルの増収が必要になります。史上最速級の成長を遂げたエヌビディアでさえ、1年間の増収額は約850億ドルでした。その4倍以上の増収を、たった1年でやってのける必要があるわけです。

第三に、経済全体との比較。売上1.1兆ドルは、2035年の米国GDP予想(約46.7兆ドル)の約2.4%に相当すると試算されています。一企業の売上が国家のGDPの2%超を占めるというのは、過去に前例のない経済的存在感です。

「TAM30兆ドル」の読み方

S-1では、AIを中心とする潜在市場(TAM)は約30兆ドルと示されているようです。確かに市場が巨大なら高成長の余地はあります。ただ、ここには古典的な落とし穴があります。大きな市場は、大きな競争を呼ぶのです。

AIの果実を狙っているのはスペースXだけではありません。アルファベット、マイクロソフト、エヌビディア、OpenAIをはじめ、世界最強クラスの企業がひしめき合っています。全員が「GDPの数%」を取れるはずはなく、現実には市場を分け合うことになる。「TAMが大きいから今の値段も正当化される」という論法には、慎重であるべきだと考えています。


【超上級編】それでも買われる理由と、インデックス投資家への影響

ここまで読むと「どう見ても割高では?」となりそうですが、それでも史上最大の需要を集めているのも事実です。フェアに、強気派の論理も整理しておきます。

強気派の論理

第一に、スターリンクという「実証済みエンジン」の存在です。年率48%増収・営業黒字・契約者1,000万超という実績は、絵に描いた餅ではありません。衛星網という物理的なインフラは一朝一夕に複製できず、参入障壁は極めて高いと言えます。

第二に、打上げ能力の事実上の独占です。再使用ロケットによるコスト優位は圧倒的で、世界の商業打上げの大半をスペースXが担う状況が続いていると認識しています。スターシップが完成すれば、輸送コストはさらに桁が変わる可能性があります。

第三に、希少性です。「宇宙×通信×AIの垂直統合企業」は世界にこれ一社しかなく、上場株でこのテーマにまとめて投資する手段は他にありません。指数に入っていない超大型株という意味でも、機関投資家には「持たざるリスク」が意識されやすい銘柄です。

第四に、固定価格135ドルについて、「需要の強さに対して意図的に抑えた価格設定では」という見方も報じられています。もっとも、これは結果論でしか検証できません。

S&P500には「すぐには入らない」可能性

インデックス投資家の方が気になるのは、「S&P500やオルカンを持っていれば、いずれ自動的にスペースXも組み入れられるの?」という点だと思います。

ここは重要なポイントですが、S&P500の採用基準には収益性の要件(直近四半期および直近4四半期合計の黒字)があると認識しており、最終赤字のスペースXの組入れは数年単位で先になる可能性があると報じられています。つまり、S&P500連動のインデックスファンドを持っていても、当面はスペースXの株価の恩恵(も悪影響)も受けない公算が大きい、ということです。

一方、NASDAQ100は収益性の要件がない指数と認識しており、基準を満たせばこちらが先に組入れの候補になる可能性があります。また、当ブログで以前『【完全保存版】FANG+のすべて』として解説したFANG+指数は、定期的な銘柄入替えがある指数なので、将来「スペースXがFANG+に入るのでは」という議論が出てくる可能性は十分あると考えています(これはあくまで私の推測で、現時点で何か決まっているわけではありません)。

上場初日は公開価格を上回った

上場初日は150ドルで取引を開始し、160.95ドルで終了しました。公開価格135ドルに対して約19.2%の上昇です。ただし、初日の強い需要は長期的な企業価値を保証するものではありません。超大型IPOの前後は需給で株価が大きく動きやすく、時間がたてば決算や成長率、資金需要といった事業の実績が評価の中心になります。


【番外編】注意点を3つだけ

最後に、上場後のスペースXを投資対象として見る方向けに、バリュエーション以外の注意点を3つに絞ってお伝えします。

注意点① 議決権の8割超を創業者が握る

上場後もマスクCEOが議決権の82%超を保持すると報じられています。つまり、外部株主がどれだけ集まっても、会社の意思決定は事実上マスク氏一人で完結します。経営の機動力と表裏一体ですが、一般株主のガバナンスが効きにくい構造であること、そして良くも悪くも「キーマンリスク」が極端に大きい会社であることは、認識しておくべきだと思います。

注意点② 赤字+巨額先行投資という財務構造

現在の最終赤字は、スターシップ開発とAIインフラへの先行投資によるものです。これらが計画どおり花開けば大きなリターンの源泉になりますが、ロケット開発には失敗や遅延がつきものですし、AIインフラ投資の回収可能性は業界全体でまだ証明されていません。衛星通信の分野でも、アマゾン系の衛星網計画など競合が育ちつつあると報じられています。「スターリンクの黒字がいつまで投資負担を支えきれるか」は、上場後の決算で継続的に確認していくべきポイントです。

注意点③ IPO直後の株価は「別のゲーム」

本記事で検証したのはあくまで「公開価格135ドル=企業価値約1.77兆ドル」の妥当性です。実際の初値は150ドル、初日終値は160.95ドルとなり、公開価格より高い評価から市場取引が始まりました。また、IPO直後は売買が集中して乱高下しやすく、一定期間後には既存株主の売却制限(ロックアップ)解除という需給イベントも控えています。短期の値動きと長期の企業価値は分けて考える必要があります。


まとめ

最後に、今回の内容を整理します。

  • スペースXは2026年6月12日にNASDAQへ上場。公開価格135ドル、初値150ドル、初日終値160.95ドルとなった
  • オーバーアロットメント実行後の最終調達額は約857億ドル、初日終値ベースの時価総額は約2.1兆ドル
  • 実態は「宇宙×通信×AI」の複合体。スターリンクが売上の約6割・営業黒字を稼ぎ、スターシップとAIに巨額の先行投資を行う構造
  • 2025年は売上約187億ドル・最終赤字約49億ドル。調整後EBITDAは約65.8億ドルの黒字
  • 企業価値約1.75〜1.77兆ドルは、PSR約95倍・EV/EBITDA約270倍の水準。現在の業績では説明が難しい値段
  • 報道された試算では、この値段の正当化には「2035年に売上約1.1兆ドル(現在の約60倍・年率約50%成長を10年)」が必要とされ、これは過去に前例のない成長ペース
  • 一方で、スターリンクの成長実績、打上げ分野での高いシェア、事業の希少性は強気材料になり得る
  • S&P500への組入れは収益性要件から数年先になる可能性。インデックス投資家への当面の直接影響は限定的とみられる
  • 日本からはSBI・楽天・みずほ経由で申込み機会があった異例のIPO。現在は通常の米国株として市場で売買されている
  • 議決権の8割超を創業者が握るガバナンス構造、赤字+巨額投資の財務、IPO直後の乱高下には要注意

私なりの結論を一言で言えば、「会社は本物。ただし、この公開価格は『前例のない未来』をすでにほぼ全額織り込んだ値段」だと考えています。買う・買わないの正解は誰にも分かりませんが、少なくとも「割高かどうかの判断材料を持ったうえで」決めることが、長期投資家としての最低限の備えではないでしょうか。

日々の株価の上下に一喜一憂せず、『長期的な資産形成』を続けるための土台として、今回の知識が少しでもお役に立てば嬉しいです。また、投資に唯一の正解はなく、いろいろな見方があると思います。私自身もまだ学びの途中ですが、この記事がご自身の考えを深める一助になれば幸いです。

繰り返しになりますが、本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記事中の数字は2026年6月29日時点の開示資料とNASDAQの公表に基づくものであり、最新かつ正確な情報は企業の開示、SEC提出資料、各証券会社の公式情報でご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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参考リンク(出典)

本記事の作成にあたっては、以下の公式情報を参考にしました。最新の数値や制度は変わりますので、投資判断の際は各サイトの一次情報もあわせてご確認ください。

  • #米国株
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